「まだ見ぬ挑戦もやっていきたい」長瀬有花活動2周年インタビュー

9月16日に活動2周年を迎える「だつりょく系アーティスト」長瀬有花。

所属事務所・RIOT MUSICの「VIRTUAL ARTIST AUDITION Vol.1」に合格しスタートしたアーティスト活動を、「デビュー前には想像もつかなかった」と彼女は振り返る。

2年間のライブやアルバム制作、活動以前の音楽との出会い。そして、新たに迎える3年目とその先について、長瀬有花は何を語るのか。

取材・文:森山ド・ロ
取材・編集:ゆがみん
撮影:Dyemon


浮いてるっていうことは強みにもなる




──2周年を迎えて、率直な感想を教えてください

長かったようで、やっぱり短かったなって思います。デビュー前の自分からしたら、今こうなっているとは想像がつかなかったなっていうくらいに色々ありました。

──2年の活動の中で特になにが印象深かったですか?

去年の3月に横浜ベイホールで開催された、RIOT MUSIC全体でのライブ「"Re:Volt"」が最初に思い浮かびます。

初の全体ライブということもありましたし、 その当時は他の所属アーティストのみなさんに比べて、自分のスタイルは浮いているなっていう思いがありました。声質とか歌い方とか、選曲もそうなんですけど、みなさんはとにかくパワフルで盛り上げ上手で、でも自分は声量もあまりなかったし、そういうタイプではなかった。そういうスタイルみたいなことを結構気にしている時期だったんですね。

それまでそんなコンプレックスって訳ではなかったんですけど、実際にライブ前にみんなと並んでリハーサルをした後、かなり自信をなくしてしまったんです。それでも、本番では吹っ切れるところまで持っていくことができて、そこから長瀬有花の魅力というか、強みがわかってきて、自分が強くなれたなっていう感じがあります。自分に打ち勝ったというか、殻を破った感じでした。 なので「"Re:Volt"」は印象深いですし、ターニングポイントだったんじゃないかなって思ってます。

──「このライブで殻を破ろう」と思って挑んだということですね。

はい。とにかく「自分の良さって自分にしか出せないよな」「自分にしかない魅力ってあるよな」「浮いてるっていうことは強みにもなるよな」って色々考えてました。

そこから自分に自信が持てるくらい練習して、完璧って思えるようなパフォーマンスで本番に臨めば大丈夫だろうって思って、そこから毎日スタジオにこもって、練習していくうちにだんだん自信がついてきました。

今はもう全く考えないです。人と比べたりとかもほとんどしなくなりました。

──「"Re:Volt"」のライブは大きなターニングポイントだったということですね。他に印象深い出来事はありますか?

今年の2月にリリースした初めてのアルバム「a look front」がすごく印象に残っています。

どの方に曲を作っていただくかの検討の段階から自分も意見を言わせていただきました。制作期間は本当に目まぐるしくって、アワアワしてるうちに気づいたら、すごくいいものができていた……みたいな感じだったんです(笑)。

やっぱり初のアルバムっていうことで、完成したものを全部通して聞いた後の感動と、「こんないい作品作れるようになったんだな」ってしみじみしたというか、ライブの時の落ち込んでた自分と比べてかなり成長したなって思いました。

──アルバム制作で1番大変だったことはなんでしたか?

やっぱり練習……ですね。リズムもそうだし、音程を取るのも難しい曲が多くて、練習をいっぱいしました。

レコーディングは月に2〜3回くらいしてたかなっていうくらいだったんですが、自分にとってはレコーディングとレコーディングの間がちょっと短めだと感じて。並行してバースデーライブの練習もしてたのもあって大変でした。

──特に大変だった、録り直しがあったり難しかった楽曲はなんですか?

録り直しっていう意味では、「ハイド・アンド・ダンス」という曲は、以前にワンコーラスだけYouTubeに公開してた曲だったんですけど、アルバムに加わることになって、フルで全部録り直しました。

難しい曲でいうと「ライカ」はかなり苦戦しましたね。音程を取るのが難しくて、急に音が高くなったり、とにかく高低差が激しいんですよね。ボーカロイドの曲と似たような音の取りづらさがありました。

自分が表現したい音楽、世界観を詰め込んだ「駆ける、止まる」




──RIOT MUSICのオーディションをきっかけにこの業界に入ったと思うんですが、そもそもRIOT MUSICを目指そうと思ったきっかけはなんだったんですか?

中学の頃から、歌手になりたい、歌で仕事していきたいなって思うようになって、それからボイトレに通ったり、オーディションを探したりしてた時期があったんです。

けど、そうして動いてる途中でコロナが流行り出して、色々な音楽イベントやライブが、次々に中止とか延期になっていくのを目の当たりにして……。そんなときに見つけたのが今の事務所のオーディションでした。

次々とライブやイベントがなくなっていく中で、工夫してイベントを開催したり、ファンの人たちを楽しませ続けているのを見て、すごくいいなと思って。ここだったら今の時代でも、自分らしく、ファンの人たちもずっと楽しませ続けられるんじゃないかなと思って応募しました。

──実際にオーディションに受かってアーティスト活動が始まって、最初に壁と感じた出来事はなんでしたか?

1番苦戦したのは音楽自体というか、音楽面での自分の見せ方みたいな部分ですね。活動初期は既存の楽曲をカバーさせていただくことが多かったんですが、 カバーの選曲をするにあたってはアニソンとか、そういうジャンルの曲が喜ばれる印象が個人的にはありました。自分の雰囲気にマッチする曲や、自分のカバーしてみたい曲を歌うとなると、それがファンの方にはあまり知られてない曲だったりすることが多くて。

例えば、やくしまるえつこさんとか、自分の好きなアーティストさんの曲が歌いたいけど、みんなはあまり知らないかもしれないから選曲できないって悩んだこともあって、初期のカバー活動はすごく苦戦しました。

──それでも最初のカバー曲は「放課後ディストラクション」でしたよね?

そうですね。デビューしたての初期の頃は、自分の好きな曲を中心に選曲していたんです。

けど、そうした楽曲を知らない人も多い印象を受けたので、そこからアニソンのようなジャンルに軌道修正したり、むしろカバーしたい曲を好きにやってみたらどうなるのか試したり、色々していました。今はいい感じの自分の道というか、自分のブランディングと両立しつつやれることをやる、自分らしい方向性を見つけたのかなって思います。

──活動を始めて、注目されるきっかけになった出来事やタイミングって覚えてますか?

始まりは、昨年の5月にリリースした「駆ける、止まる」だったのかなって思います。ライブで初披露したんですけど、良い意味で驚かれることが多かったんです。

さっきお話した選曲の話にも通じるんですがみんなに受けるとか受けないとか、そういうのを個人的には気にせず、自分が表現したい音楽とか、世界観とかを詰め込んでもらった曲で、結果的に本当に自分らしい曲になったなって感じがするんです。

「駆ける、止まる」をリリースして、MVを出した頃からアーティストさんやライターさんとか音楽業界を中心として色々な方にSNSで「この曲すごくいい」というふうに触れてもらえて、そこから長瀬有花としての唯一無二、みたいな部分が評価され始めたのかなって自分では感じてます。


音楽好きに知ってもらうための「次元を越超える練習」



──他に苦戦したこと、戦略的に考えてきたことがあれば教えてください。

やっぱり次元を越えたことですね。1周年のライブで初めてちゃんと「次元を越えた」んですけど、それ以前から「越える練習」はしてきました。

──「次元を越える練習」という言葉はかなりキャッチーですね!

いきなり、というのは色々と難しかったので自分の代わりにクマのぬいぐるみを動かすところから始めて、クマの姿で歌う練習の様子をYouTubeとかTikTokとかにあげたりしてました。

──次元を越えようとなったのはいつ頃からなんですか?

去年の5月くらいにギターを始めた頃からです。

弾き語りをいずれ披露したいなって思っていたんですが、2次元の姿のままで弾き語りするのって、見てる方にあまり臨場感が伝わらないというか、自分の伝えたいものが伝わってない感じがしました。

実際に弾いてる細かい指の様子のような細部は、 やっぱり2次元だと伝えられるのに限界がある。ファンの人と同じ次元に立ってライブできたら、伝えられるものが増えるんじゃないかなと考えて、その辺りから次元を超える準備を始めたと思います。事務所の人とも相談して、そっちの方がいいんじゃないかって。

──最近のバーチャルアーティストの傾向として、生身の姿でライブをやったりするアーティストも少しずつ増えてきています。そういった周りからの影響もありましたか?

そこに関してはあまり影響は受けていないというか、そういった方々が増えてきたことも知りませんでした。「音楽好きの人にもっと広く知ってもらいたい、新しい表現をもっとしたい」という思いがあったことが大きな要因になったと思います。

思い出や、記憶を掘り起こせる感覚を届けたい



──そもそも長瀬さんが歌手を目指そうと思ったきっかけや音楽のルーツについて教えてください

保育園に通ってた時に、車の中で親が流してるCDを聞く時間がすごく好きでした。特に松たか子さんや小沢健二さんの曲を親がよく聴いていて、その頃からちょっと懐かしいような感じの曲が好きになりました。

流行りの曲も親戚の人が貸してくれたりしていたんですけど、それよりも懐かしい曲を好んで聞くことが多かったです。小学生の頃にピアノをやったり、中学校で吹奏楽部に入ったりして、そもそも音楽に触れる時間が多かったんですけど、中学の時に吹奏楽部の友達と初めてカラオケに行ったんです。そこで好きな曲を歌って、「歌うのって楽しいな」って思ったんですね。

それからは音楽の授業の合唱の時間とかに「声綺麗だね」というようなことを言ってもらえることが多くなりました。今まで自分に自信が持てるところなんて特になかったけど、歌とか音楽だけはそれをやってる時の自分がすごく好きになれる。その頃から、本格的に歌をやっていきたいなって考え始めましたね。

──長瀬さんは普段からバーチャルアーティストの音楽を聴いたり、ライブを見たりしますか?

普段からはあまり聞かないかもしれないです。ただ、同じ事務所のアーティストさんのオリジナル曲は結構聞いたりしますし、気になったライブは見るようにしてます。

最近だとこの前の花譜さんの武道館ライブを観て、すごく良い刺激をもらいました。

──楽曲を作っていく上で、一貫して意識してることはありますか?

自分で自分の歌を聞いていると、脱力できる瞬間、脳の芯まで来るような感覚みたいなものが得られることがあるんです。そういう感覚をちゃんと届けられるかとか、やっぱり聞いた人が思い出とか記憶とか、そういったものを掘り起こせるような感覚をお届けしたいなって思っています。自分の楽曲を歌う時も、カバーを歌う時もそうなんですけど、懐かしさとか脱力させるっていうのは大事にしてますね。

──そうした懐かしさや脱力を意識して制作していく上で、インスピレーションを受けたアーティストや楽曲はありますか?

自分の楽曲って、曲によって雰囲気が変わるものが多いので、一貫してこの人みたいなものはあまりないんです。

けどやっぱり、やくしまるえつこさんとかサカナクションさんとかの音楽にあるような、曲ごとのジャンルは違うけど芯があったり、懐かしさが見え隠れする感じとか、自分の声の良さを生かす曲作りを参考にしたりとか、取り入れたりはしてますね。

あと、歌い方の参考で言えば、昔から声優さんの歌うキャラクターソングがすごく好きなんです。キャラクターソングって、セリフを喋っているわけではないけど、このキャラが歌ってるってわかる声優さんの表現がすごいなって思っているんです。そのキャラにしかできないような独特のニュアンスとか表情をつけたり。そういうところをアイデアとして参考にしています。

──ライブではどんなところを意識していますか?

ライブでは、やっぱり見てる人が飽きないようにしようっていうのが1番強くあります。

音以外の部分でも、見ている人が目を離すようなタイミングをあまり作りたくなくて。やっぱり見た目や動きとか、そういう視覚的な面でも目を惹きつけるよう、曲によって動きとか振り付けを変えるようにしてます。 他にはMCでも没入してもらえるよう、長瀬有花としての世界観を作り込むことを意識しています。

ずっと長瀬有花は長瀬有花だけの表現を追求していく




──長瀬さんはバーチャルでコラボしてみたい人はいますか?

基本的に自分の声で他の人とコラボするのはすごく難しそうだなって思いがずっとあったんです。けど、最近色々な表現をするバーチャルアーティストさんもどんどん増えていますよね。

それこそ次元を越えた表現をしている方もいるし、楽曲のジャンルもどんどん多様になってきている。だから自分でも良いコラボができるかもしれないみたいに思うことが最近増えてきました。例えばKMNZさんとか、カバーの選曲に「わかる!」となることが多くて、一緒に歌えたら面白そうって思ってます。

──長瀬さんご自身では今後の目標や、やりたいことは何かありますか?

実は結構いっぱいあるんです。例えば、そのうち長瀬有花も音声合成ソフトを出したいなって密かに思ってます。

あと、プラネタリウムでライブをしてみたいです。席もちゃんとリクライニングで、眠くなったら寝てもいい、みたいな。他には、ステージの上にでっかいベッドを置いて、ベッドの上で寝転がって歌ったりとか、跳ねたり座ったりとか、そういうのやってみたいなって思ってます。

──ステージを部屋にしちゃうみたいな感じですか?

そうです!お客さんはみんなパジャマで参加してほしいです

他に目標としては、タイアップとか、主題歌とか、歌唱のオファーにもいっぱい挑戦したいです。あとは6月に開催した「SEEK」っていうライブは無料配信だったんですけど、YouTubeで4500人くらいの方が見てくださったので、今度配信する時は1万人達成したいなっていうささやかな目標があります。

──盛り沢山ですね。それでは最後にファンの方に向けてメッセージをお願いします。

次元が変わったとしても、ずっと長瀬有花は長瀬有花のままで、ずっと自分だけの表現をこれからもしていこうと思っています。最近知ってくれた方も、初期の頃からずっと応援してくれてる方も、皆さんをワクワクさせられるような、まだ見ぬ挑戦も色々やっていきたいと思っておりますので、これからも見守ってついてきてもらえたら嬉しいです!




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2022年9月16日(金)18:00〜9月23日(金)23:59

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----------「長瀬有花」プロフィール----------

“幼さのある特徴的な歌声と不思議な雰囲気を持つ"だつりょく系アーティスト"。
普段は無表情で淡々としているが歌に対しては強い情熱を持ち、その独特な世界観に没入させる。

多次元的な表現から見出される唯一無二の作品性は業界内外から強い注目を集めている。”

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ネバースリープ編集部 / NEVER SLEEP